住宅・ライフスタイル事業部の中御門です。
昔の日本の家の中は、障子や襖という建具で仕切られていることがほとんどでした。
今は和室のない家も増えてきて、”障子”や”襖”という言葉自体を聞いたことのない子供たちもいるかもしれませんね。
目次
「障子」とは、桟に和紙が貼られて、緩やかな光の差し込むものを指しますが、元々は「さえぎるもの」「ふさぐもの」の意味で建具一般を指したそうです。
障子の「障」にはさえぎるという意味、「子」とは小さな道具という意味があります。
普通の障子の場合、強度や作業性を考えて大抵が外側の枠が太くなっていますが、「吉村障子」と呼ばれるデザインがあります。
「吉村障子」は、障子の外枠も中枠も同じ寸法でつくられていて、それによって、数枚並んでいても、閉めた時にまるで一枚の障子に見えるように考えられているものです。
「吉村障子」とは、日本の建築家、吉村順三氏(1908~1997)が考案したものです。
吉村順三氏は、戦後日本のモダニズムを代表する建築家。
フランク・ロイド・ライトに学び帝国ホテル建設の際に来日したことで有名なアントニン・レーモンドに師事し、彼に日本建築を伝えた人で、皇居新宮殿の建設に関わり、代表作に国際文化会館、ニューヨーク近代美術館日本館などがある世界的にも有名な建築家です。
この「吉村障子」の考え方が今の住まいにとても合います。
障子を通して得られるやわらかな光、美しいシルエット、日本の建具のよさは、決して和風建築だけのアイテムではなく、様々な様式の建築スタイルにも合うのです。
カヤノでつくらせていただいた家で「吉村障子」の考え方を採用した例をご紹介しましょう。
以前公開していたモデルハウス『The House2』のリビングの掃き出し窓、小上がりの畳の間、に吉村障子がありました。
障子を開けたとき、
リビングの方は、写真に写っている右側の袖壁の向こう側に、
畳の間の方は、左側の押入の向こう側の壁に引き込まれて、すべての障子が見えなくなります。
窓だけが見えている状態では、こんな障子がついているとは思えません。
フローリングの床の洋室のリビングの窓に障子を付けました。
陽射し、視線を遮るために、一般的にはカーテンを取り付けることが多いですが、こちらのお宅は障子を選択されました。
洋室に障子を付けた事例は、クロワッサンの店の隣の隣のモデルハウス『Conserve House』でもご覧いただけます。
この部屋は船底天井にして、かつ高さも抑えていたり、天井に和紙を貼って仕上げたり、和の要素もあり、障子がとても馴染んでいますが、床はフローリング。
雪が積もった日は、外はどんよりと暗いのに、障子の和紙を通して届く光には明るさを感じました。
マンションフルリノベーションをした、リビングと隣接する和室。
障子を閉めると↓こんな感じ。
畳の間を仕切るL型に配置した障子です。
桟はどんなバランスで入れるのか、障子紙はどんな透け具合のものにするのかによっても印象の変わる吉村障子。
和紙を貼る場合もありますし、破れない方がよいという方には、ワーロンシート(R)という塩化ビニール樹脂の商品を使うこともあります。
間仕切りに襖が使われている場合も、襖ではなくモダンな障子にすることでイメージががらっと変わることもあります。
あなたのお家のご計画にはどのようなものをおつくりしましょうか。
ご一緒に考えていましょう。