コラム
2014/03/26

Vol.4 チャレンジについて話をしよう。

このブログを書いた人
住宅スタッフ(住宅ライフスタイル事業部)

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— さて、今回は茅野社長の今までについて語って頂こうかな、と思っています。

 「今までと言うと?」

— はい。というのは、このところ「団塊の世代」の次の世代の方たちのモチベーションの凄さに驚かされることが度々ありまして・・・。具体的には、「団塊の世代」は一億総中流社会という、ある種、国を挙げての照準が定まっていたようなところもあります。社長はその次の世代ですよね。

 「世代で括るならそうなります。でも、あまりそれを意識したことはありません。」

— そうですか。僕が想像するに、社長たちの世代って、様々な分野で今でも先駆者と呼ばれている方々いて、それが新しいとされていた時代だと思うんです。社長はジャズと建築デザインにはまっていた。そこにどんな光明を見ていたのかな、と。

 「光明なんて崇高なものはありませんよ(笑)。ただ好きだった。感性に合ったというだけで・・・。あとは今も先駆者として残っていらっしゃる方は、私よりも少し上の世代に多いですね。」

— でも、同級生とか先輩、後輩に凄い方がいらっしゃいますよね。

 「凄いかどうかは別にして、変わった人は多いですね。」

— 一般的に見れば、社長も相当「変わった人」だと思いますが・・・。

 「本人はそれに気づかない・・・(苦笑)。先ほど話に出た先駆者ですが、確かにそういう時代だったと思います。芸術、美術、音楽、ファッションなどいわ ゆる娯楽と呼ばれるものが、ぼやっと世間に広がりました。それが新しいと捉えられた時代だと思います。全体的に見れば高度成長期を経てある程度社会が成熟 して、世の中がどこか、何か、見えざるものから解放されたという気配もありましたね。そして、いい意味での自由性という価値観が誕生したのだと思いま す。」

— そこなんです。その自由性というのが今回のキーワードです。社長は28歳のときに新潟に戻られました。そのとき何を思ったのか?

 「え~と。何でしょうか・・・。まずは会社の業務に慣れるというか、茅野材木店という今までとは全く違う世界に来たな、というのが第一印象でしょうか。 それだけで、もう必死でした・・・(笑)。当時は製材工場を持っていましたから、朝早くに職人さんをワンボックスカーに乗せて、工場まで行くというのが日 課になっていたんですね。職人さんたちは気難しい人が多かったので、ただ送り届ければいいというものではない。気を使いながら運転したのを覚えていま す。」

— 帰りも?

 「そうです。「お疲れさまでした」ときちんと挨拶して、またワンボックスカーに乗って頂く。そこで機嫌をそこねると事務所に戻ってから大変でした。」

— それから、住宅建築に向かうわけですか?

 「そうですね。」

— 興味深いのは、それに対するエネルギーです。やっぱり、社会に新しいことに挑戦できる余白が、今よりも多く空いていたと思うんですが・・・。

 「確かにそれはあると思います。それが先ほど申し上げた、解放だと思います。」

— それから、クロワッサンの店、HOUSE&GARDEN(旧WE LOVE WOOD)など、雑貨や生花の分野にも挑戦されました。 

 「色んな方から雑貨店と花屋、住宅建築を結びつけた発想の源は何ですか?といった質問を受けます。答えに困るのですが、私としては何か楽しいと思えるこ とをしたかっただけなんです。楽しくなければ仕事は長続きしません。そして、社員にも楽しんで仕事に取り組んでもらいたいという思いもありました。」

— 先ほどの「社会の余白」ですが、今は閉塞感ばかりが取り上げられます。

 「私が30代、40代だった頃に比べたら『新しい』という分野の余白は狭くなっていると思います。でも、イノベーションはそういった制約の中から生まれ るものだとも思います。逆に言えば、ある程度の制約がなければイノベーションは生まれないのではないでしょうか。先ほど言われた閉塞感ですけど、その閉塞 感を破るために、新たな解放を得るために人は考えるのだと思います。」

— なるほど。最近タイトルが気になって『社会貢献でメシを食う。』という本を読んだのですが、その書籍では若 者の間で、タイトル通り「社会貢献」への意識、感覚が広がっていると言うんですね。例えば、100万円くらい借金をしてピースボートに乗って世界を周ると か、ボランティア活動を目的に世界に飛び出すとか、そういった動き、傾向があるようです。

 「確かに、そういった風潮はこれからの時代どんどん起こっていくと思います。若者が抱く、そういった感覚は理解することが出来ます。但し、書籍のタイト ルにもなっているように、企業、事業としては稼げなければいけない。それはどんな形でもいいのですが、例えば、我々が出来る直接的な社会貢献は法人として の納税です。合わせて、それとは別な形での社会貢献も考えなければいけないですね。」

— CSRですね?

 「小さな意味ですが、そう言えなくもないですかね・・・。」

— CSRと言うとどうしても大企業が行う世界的な活動ととらえられがちですが、中小企業バージョンもあっていいと思うんです。寄付やボランティア活動とは別の意味で。

 「そうですね。寄付やチャリティーも大変な社会貢献だと思います。しかし、これも継続性を求められます。「業績が下った、寄付を止めよう」では、本当の意味での社会貢献にはならない。」

— Kayanoでは30年ほど前から『親子手作り木工教室』という活動をされてこられた。これも、大きな括り で言うと社会貢献ですよね。今の子どもたちは木を切ったり、釘を打ったりする機会が激減しています。合わせて、怪我をする痛さの経験も減りました。怪我を 奨励するわけではないですが、子どもたちへ未体験ゾーンの提供という意味では立派な社会貢献です。

 「まあ、それほど深い意味ではやっていなかったですけど・・・(笑)。」

— 僕はそれこそ中小企業が目指すCSRだと思うんです。『親子手作り木工教室』に参加された方が、 Kayanoで住宅を建てられたことがあるとお聞きました。『親子手作り木工教室』という社会貢献活動がKayanoの事業につながっている。もちろん、 それを狙われているわけではないと思います。常々、茅野社長は「お客様と楽しいコトがしたいだけ」とおっしゃっています。でも、『親子手作り木工教室』を 継続的に行ってきた結果、事業にも結びついたのですから、Kayano内部にはCSR機能が備わっているということだと思います。

 「今はそれが「Kayano祭り」という形に変わりました。ここにも、我々が行っている事業の特徴でもある大工さんや左官屋さんにワークショップをやって頂いています。最近では、OB施主さんが講師になって様々なワークショップを開いてくれるようになりました。」

— それって凄いことですよね。事業を通して知り合ったお客様が、今度はKayanoを使って子どもたちにワークショップを提供されている。中小企業版CSRが出来上がっている。

 「いやいや、お客様に恵まれているからでしょう。」

— 相互関係が出来上がっているからだと思います。では、これからの社会にある余白という意味ではどうでしょう。

 「そういった活動、意識が広がっているというのは、職に就くということに対して、従来の日本型であった「就社」から本来の意味での「就職」に意識が向いている若者が増えているということではないでしょうか。」

— そうなんです。そういった若者はキャリアアップを目指して、様々な活動にチャレンジするそうです。どんどん所属する組織も変える。特に、NPO活動に 集中しているようですが。でも、日本のNPO法人に勤めている方の平均年収は200万円だそうです。アメリカでは500万円から1000万円。

 「そこにはやはりビジネス感覚を持ち込まなければいけないでしょう。ボランティア精神も必要ですが、活動を継続させるにはソーシャルビジネスを目指すの ですね。近い将来、社会構造が激変します。それはすでに目に見えています。ですが、そこに可能性があるのだと思います。」

— そういった風潮は、若者が優しくなっているということでしょうか。

 「どうでしょう。社会構造の変化を機敏にキャッチしているのでは・・・と思います。「このままでは社会が成り立たないぞ」とか「夢は叶わないぞ」という “風”のようなものを感じているのだと思います。私たち世代が学生の頃に感じていた解放感、自由という感覚に似ているのではないでしょうか。新しい形の チャレンジ精神が生まれていることはとても大切で、有意義なことです。」

— では、これからの社会でも、新しいことに挑戦するだけの機会はあると?

 「もちろん。資本主義が消えることはないでしょうが、その周辺には新しいイノベーションが沢山生まれると思います。もしかしたら、資本主義の形態の変化 も生まれるかも知れません。しかし、若い人が閉塞感を感じているのだとしたら、それはチャンスなのではないでしょうか。きっと閉塞感が新しい発想を生み出 す原動力になるはずです。」

— なるほど。新しい分野でのイノベーション・・・。考えてみます。

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住宅スタッフ(住宅ライフスタイル事業部)

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