住宅
2025/01/21

「無垢の木の素材はよみがえる」 ー記憶を受け継ぐモノー

このブログを書いた人
八木大志(住宅ライフスタイル事業部)

新潟駅南のけやき通りに以前「クロワッサンの店 新潟笹口店」が
あったことをご存じの方も多いはず。


新潟市中央区川端町にある現 新潟店と統合するために、
2017年に閉店となりましたが、
昭和59年!(1984年)から生活雑貨、ファッションから
注文住宅をご提案する拠点として活躍してきました。


店の解体が決まったときに、33年間分の記憶の詰まったものを
何か残せないかとなりました。


ご来店の皆さんが一番触れていたもの=「お店の床材」が候補となりました。


この床材は、開店当初 素材を吟味して選ばれた
「Bruce ブルースフロア」というアメリカ製の
オーク(ナラ)無垢材のフローリングでした。


厚みが20ミリあり、そのお蔭で店舗の床で土足のまま利用していただいても
30年以上の使用に耐えるものでした。


この木の素材を1枚ずつスタッフで丁寧に剥がしてストックすることとなりました。


そして、記憶をつなぐモノとして、新築住宅の中で造作家具の一部となって復活しているのです。


まずは カヤノのモデルハウスの中では、玄関シューズ棚の扉として。


無垢の木の素材なので 表面を削ればまだまだしっかりした内部が現れます。


床の風化した凹凸を残しつつ、ほど良く削って扉に仕上げています。


よく見ると、店の床だった頃の、傘から落ちた雨水跡、少し深く傷ついて凹んだ溝も見えます。


おなじく、表面の風合いを楽しめるように 造作家具の洗面鏡収納にも加工しています。


時を経た様子には、引き手となる真鍮金物がよく馴染みます。


また、マンションリノベーションの仕上げにも使われた例として、
築50年以上のビンテージマンションのフルリノベーションをおこなったとき、
壁面フックの台座として利用しています。


こちらもフックが真鍮製なので、今後時間とともにさらに雰囲気を増していくことでしょう。


「木の素材」をリユース、リサイクル、アップサイクルすることで、
新しい材料が出せない味、家や建物の歴史、家族の大切な記憶を受け継ぐものとして続いていきます。


カヤノ 上大川前通・モデルハウスでは 他にも造作家具や木の質感を感じられる空間を体感していただけます。


土・日・祝日の10:30~17:00までオープンしています。

このブログを書いた人
八木大志(住宅ライフスタイル事業部)

伊勢生まれ、鳥羽育ち。学生の時にワンダーフォーゲル部で京都低山と北海道から九州のあちこちの山を歩きました。離島や街ではバックパックの旅へ出かけていました。居心地の良い空間、時の変化を楽しめる暮らしの提案を目指しています。

担当業務:設計

好きなもの、こと、場所:江戸時代の名残のある街道、昭和の町並み建築見て歩き、映画のチラシ、カメラ、自転車、料理、美術展覧会巡り、イタリア、チベット